3種類のスクラバーの違いを解説
アイエンスでは、3種類のスクラバー(排ガス処理装置)をご提供しています。
今回は、3種類のスクラバーの導入メリットと納入事例についてご紹介します。
水平水膜式スクラバー 「デオライザー」
デオライザーは、水平水膜に下から排ガスを上部に通して臭気物質や粉塵を取り除く方式のスクラバー(排ガス処理装置)です。デオライザーの導入メリットと納入事例をご説明します。
デオライザー導入のメリット
導入のメリットには、以下のようなものがあります。
- 1. 水膜により臭気や粉塵を確実に処理
- デオライザーは、約40mmの水平水膜を2段形成し、排ガスに含まれる臭気や粉塵を捕捉しますので、確実に汚染物質を取り除くことが可能です。
(※水膜を通過しても、トルエンなど水に溶けない疎水性物質は抜け出てしまいます。) - 2. アクアブラスター内蔵で水の腐敗を防ぎ、スラッジの発生を抑える
- 一般的な湿式スクラバーの場合、処理水に汚染物質が溜まり、腐敗しスラッジ(汚泥)が発生することがあります。スラッジが発生すると、かえって悪臭が発生したり、ハエなどがわいたりすることがあり、工場内の作業環境が悪化してしまいます。
しかし、デオライザーはアクアブラスターを内蔵しているため、水の腐敗を防止して、スラッジの発生を抑えることが可能です。 - 3. カートリッジ式スクリーンでメンテナンスが簡単
- デオライザーのメンテナンスを行う際には、カートリッジを交換すればOKです。カートリッジの交換は一人でも可能なのでメンテナンスの手間を軽減でき、維持費を抑えることができるでしょう。
- 4. 気液接触効率が100%
- デオライザーは、40mm前後の水膜により、100%気液接触を可能にしています。そのため、水と排ガスを効率よく接触させることができ、可溶性汚染物質の処理を確実に行えます。
デオライザーの納入事例
デオライザーのご納入事例は、以下のとおりです。
<鋳造排ガスの処理>
目的: 鋳造ラインから発生する排ガスに含まれる強い臭気を確実に処理し、作業環境の改善と公害防止を図る。
導入効果: 臭気の処理能力が上がり、作業環境は大幅に改善され、近隣住民への臭気の拡散も抑えることに成功した。
<漢方薬排ガスの処理>
目的:漢方薬の臭気による近隣住民への影響が発生した。できる限り低コストで、排ガス処理を行いたい。導入効果:臭気をほぼ無臭のレベルまで抑えることに成功し、近隣住民からの苦情がなくなった。維持費を抑えることができ、低コストという目的も達した。
水中撹拌式スクラバー 「デオブラスター」
デオブラスターは、アイエンスの水処理特許技術であるアクアブラスターを使用して、排ガスを水と激しく接触させる水中接触式で、効率よく集塵と脱臭を行います。デオブラスターの導入メリットと納入事例をご説明します。
デオブラスター導入のメリット
デオブラスター導入のメリットは、以下のようなものがあります。
- 1. 内蔵のアクアブラスターで可溶性の物質を確実にキャッチ
- デオブラスターには、アイエンスが特許を取得している「アクアブラスター」が内蔵されています。アクアブラスターにより、排ガスと水を強制的に接触させることで、可溶性の物質を確実に捕捉することができます。
- 2. アクアブラスター内蔵で水の腐敗を防ぎ、スラッジの発生を抑制
- アクアブラスターには、水の腐敗を防止する効果もあります。これにより、スラッジ(汚泥)の発生を抑えて、悪臭や虫がなどの悪影響を防ぎます。
- 3. 少風量高濃度排ガスの湿式集塵機としても使用可能
- デオブラスターは、少風量で高濃度排ガスの湿式集塵機としてよく使用されます。
- 4. 「PH自動制御」「薬注機能」のオプションで中和脱臭も可能
- 水による脱臭だけでなく、PH自動制御機能、薬注機能のオプションを追加することで、中和脱臭も可能です。アンモニア系の排ガスなど、中和脱臭が必要な排ガスにも対応できます。
デオブラスターの納入事例
デオブラスターのご納入事例は、以下のとおりです。
<乾燥炉排ガスの処理>
目的:乾燥炉から排出される高濃度の強酸性の排ガスを処理したい。
導入効果:強酸性の排ガスを、水と中和剤だけで処理することができた。
<堆肥処理装置排ガスの処理>
目的:排水処理設備で発生する汚泥を堆肥ペレットにする過程で、アンモニア系の排ガスが発生する。外部に排出できるレベルで無臭にしたい。
導入効果:デオブラスターで洗浄することで、アンモニアガス濃度を100ppmから1ppm以下に抑えることに成功した。
垂直水膜スクラバー 「ダストフォール」
ダストフォールは、滝のような垂直水膜で確実に集塵するスクラバーです。ダストフォールの導入メリットと納入事例をご説明します。
ダストフォール導入のメリット
導入のメリットには、以下のようなものがあります。
- 1. 水膜で小さな粉塵も確実にキャッチ
- 滝状の水膜を用いることで小さな粉塵も確実に捕捉し、排ガス処理能力を高めました。
- 2. タンク内のスラッジや汚れを抑制
- アクアブラスターを導入することで、タンクの中の水のスラッジや汚れを抑えることが可能です。
- 3. 循環水の長期クローズ化で維持費を低減
- アクアブラスターにより循環水が長持ちし、維持費を低減できます。
(排ガス濃度によって循環水の交換頻度は異なってきます) - 4. オプションで超高性能湿式集塵装置の付加も可能
- 捕捉したい粉塵の種類によっては、より強力な処理能力をもつ超高性能湿式集塵装置をオプションでつけることも可能です。
ダストフォールの納入事例
ダストフォールのご納入事例は、以下のとおりです。
<自動車工場の鋳造排ガス処理>
目的:鋳造過程で発生する粉塵混じりの排ガスを効率よく処理したい。
導入効果:ダストフォールとデオライザーを併用した。ダストフォールで集塵処理をした後にデオライザーで排ガス処理を行うことで、集塵効率と排ガス吸収効率が共に向上した。
まとめ
アイエンスの排ガス処理用スクラバーには3タイプがあり、それぞれ以下のような特徴があります。
水平水膜式スクラバー「デオライザー」
水膜により臭気や粉塵を処理する。従来型よりも大幅に維持費を低減。
水中撹拌式スクラバー「デオブラスター」
水中接触式で、臭気や粉塵を処理する。中和脱臭も可能。省スペース。
垂直水膜式スクラバー「ダストフォール」
滝のような水膜で、集塵を処理する。維持費を低減。
排出されるガスの種類や処理コストに合ったタイプのスクラバーをお選びください。