工場の排ガスが引き起こすトラブルとは?
健康被害を予防するために必要な排ガス処理も紹介
自動車部品などの製造工場や鋳造工場、食品工場などでは、製造過程で排ガスが発生することがあります。有害物質が含まれ悪臭を伴う排ガスの処理に悩むケースは多いでしょう。
排ガスとは
大気汚染防止法では、さまざまな種類の汚染物質に対して規制値が定められています。法律で定められた汚染物質には、次のようなものがあります。
ばい煙
硫黄酸化物やばいじん、カドミウムや塩化水素、窒素酸化物などの有害物質を指します。工場の排ガスや自動車の排ガスもこれに当たります。
揮発性有機化合物(VOC)
主に、化学製品の製造や塗装、接着、印刷などの工程で行われる、乾燥、吹き付け、洗浄などの作業で発生します。
粉じん
鉱石や土砂などを扱う堆積場などで、粉砕や選別、機械的な処理、堆積などの作業により発生します。特定粉じんとして、人体に影響を及ぼすアスベスト(石綿)があります。
有害大気汚染物質
248種類の物質と、指定物質(ベンゼン、トリクロエチレン、テトラクロロエチレン)が有害大気汚染物質として指定されています。具体的な汚染物質の抑制基準値については、環境省HP(https://www.env.go.jp/air/osen/law/t-kisei1.html)を参照してください。
排ガスを処理しないままだと、周辺住民に悪影響を及ぼし、工場内の環境悪化にもつながります。排ガス処理はとても重要ですが、具体的にどのような処理方式があるのでしょうか。
今回は、排ガスが引き起こすトラブルや排ガス処理に効果的な水膜式スクラバー「デオライザー」について解説します。排ガス処理にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
排ガスが引き起こす可能性のあるトラブル
排ガスの処理を怠ると、実際どのようなトラブルを引き起こすのでしょうか?ここでは、排ガスが引き起こす可能性があるトラブルについて2つご説明します。
従業員の健康被害
工場などから排出される排ガスにはさまざまな汚染物質が存在し、中には人体に悪影響がある有害物質が含まれていることもあります。汚染物質を含んだ排ガスをそのまま排出すると、最も大きな影響を受けるのは工場内の従業員です。工場の敷地内や建物の中に排ガスが充満し、従業員の健康被害につながることもあるのです。
近隣住民からの苦情
臭気や粉じんなどが含まれる排ガスを外部に排出すると、近隣の住宅や商店などに届く可能性もあります。近隣に住む人たちにすれば、悪臭や粉じんが外の空気に漂うのは大きな問題です。洗濯物に臭いや汚れが付き、何より普通に暮らしていて空気が悪くなりますので、苦情が届くのは当然と言えます。 そして、最悪の場合、有害物質が人体に取り込まれて健康被害を起こすことも考えられます。そのため、近隣住民からの苦情が届く前に、排ガスの対処を行う必要があるでしょう。
排ガス処理の重要性
排ガス処理は環境省により大気汚染防止法で細かく規制が定められている、非常に重要なものです。大気汚染防止法は、「大気汚染に関して、国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全する」ことを目的としています。排ガス処理に関して具体的な規制を行うための法律が、大気汚染防止法です。
大気が汚染されると、悪臭や粉じんなどにより周辺住民に迷惑がかかるだけでなく、健康被害が起こる場合もあります。有害物質を含む排ガスが大気中に放出されて大気が汚染されてしまうと、汚染を解消するために多くの手間や莫大な費用がかかってしまいます。また、工場内に処理されていない排ガスが充満することで、工場内の環境悪化にもつながります。このような事態を防ぐため、工場などで排出される排ガスは処理を行って浄化してから外気に排出しなければなりません。
工場から出た排ガスを処理する方式
排ガスに含まれる汚染物質にはさまざまな種類がありますが、処理方式は排ガスの種類によって異なります。ここでは、工場から出た排ガスを処理するいくつかの方式についてご説明します。
燃焼方式
火や熱で排ガスの汚染物質を燃やしてしまう方式です。燃焼法にもいくつかの種類があります。低温で熱分解するため、燃料費を抑えられる触媒式、高温で直接燃焼し高い効果を得られるが、コストが高い直接燃焼式などです。
吸着方式
活性炭やゼオライトなどを使って汚染物質を吸着させて取り除く方式です。活性炭フィルターなどに排ガスを通して汚染物質を吸着させるため、フィルターのメンテナンスが必要です。
洗浄方式
水や薬液を用いて汚染物質を洗浄する方式です。洗浄に使用する水を循環水にすれば、低コストで高い排ガス処理効果を得られます。
その他
その他にも、微生物の力を利用した生物脱臭法や、光触媒やオゾンを利用した方式もあります。生物脱臭法はランニングコストが安く、2次公害の恐れがないというメリットがあります。光触媒やオゾンによる方式は、化学反応を起こしてから効果が出るまでの時間がかかるため、工場などの排ガス処理には向きません。
スクラバー(排ガス処理装置)を導入して排ガスをしっかり処理しよう
排ガスの処理に用いるのは、スクラバーと呼ばれる装置です。塔のような装置の中に排ガスを通して浄化することから、洗浄塔システムとも呼ばれます。スクラバーには、湿式スクラバーと乾式集塵装置があり、それぞれ特徴が異なります。2種類のスクラバーについて、どのように処理を行うのか、どのような排ガス処理に適しているのかについて、ご説明します。
洗浄式(湿式)
湿式スクラバーとは、水や薬品で排ガスに含まれる汚染物質を取り除く装置です。排ガスを送風機で集めて水や薬品で洗浄し、きれいになったガスを大気中に放出します。排ガスに含まれる物質によっては、薬液による中和処理が必要な場合もあります。主に、化学工場や製造工場などで利用されます。
燃焼式(乾式)
乾式集塵装置とは、活性炭などの吸着剤を使って排ガスの汚染物質を取り除く装置です。除去したい物質に合った吸着剤を選ぶことで、排ガス処理の効果を高めることが可能です。使用した吸着剤のフィルターは、一定期間経過したら交換する必要があります。主に、有機溶剤や悪臭の処理に使われます。
排ガスのお困りごと
燃焼方式や吸着方式など、さまざまな排ガス処理方式がありますが、臭気物質の種類によっては効果が出ない場合があります。例えばこんなお困りごとはないでしょうか?水膜式スクラバー「デオライザー」なら幅広い臭気物質に適切に対応し、臭いと埃のお悩みを解決いたします。
- 臭気の苦情をなくしたい
- 作業環境を改善したい
- 排出基準値をクリアしたい
- 処理コストを見直したい
- ランニングコストを抑えたい
- コンプライアンスを遵守したい
スクラバーを導入するなら「デオライザー」がおすすめ!
デオライザーは洗浄法と生物脱臭法を組み合わせた方式で排ガス処理を行う、水膜式スクラバーです。水膜とスクリーンに排ガスを通すことで汚染物質を確実にキャッチし、臭気物質や微細な粉じんを取り除くことが可能です。




水膜に使用する水は循環水なので、水道代を抑えられるメリットもあります。循環水にはアクアブラスターという散気装置を搭載しており、循環水の腐敗やスラッジの発生を抑えて工場内に悪臭が発生するのを防ぎます。アクアブラスターにより循環水を長期間使用できるため、水道代を節約することが可能です。
また、汚染物質を取り込んだスクリーンはカートリッジ式なので簡単に交換でき、メンテナンス費用もコストダウンできます。
デオライザーは塗装工場・鋳物・鋳造・繊維工場などさまざまな工場の排ガスに対応しています。
デオライザーが排ガスを処理する仕組み
デオライザーが排ガスを処理する仕組みは次のとおりです。
デオライザー内部に排ガスを吸入する
エアレーション用ブロワで排ガスがデオライザー内部に取り込まれます。
臭気や粉じんを水の膜とスクリーンで捕捉する
デオライザーの上部に設置された水の膜とスクリーンを排ガスが通過し、臭気や粉じんが取り除かれます。
浄化されたガスが排出される
臭気や粉じんが取り除かれて浄化されたガスは、外部に排出されます。
デオライザーを導入するメリット
デオライザーを導入するメリットには、以下のようなものがあります。。
水膜で臭いとほこりを逃さずキャッチ
デオライザーが採用している水膜の気液接触は100%なので、汚染物質を確実に捕捉することが可能です。そのため、排ガスに含まれる臭いやほこりを逃さずキャッチして、確実に排ガスを浄化処理できるというメリットがあります。
ランニングコストが抑えられる
デオライザーは循環水を使用していますので、水道代を節約できます。また、スクリーンは50cm角でカートリッジ式なので簡単に交換でき、ランニングコストを抑えることにつながるでしょう。
スラッジの発生を抑制できる
デオライザーは、循環水をジェット水流で撹拌するアイエンス独自の技術「アクアブラスター」を採用しています。アクアブラスターにより循環水にスラッジが発生するのを防ぎ、悪臭や汚れの発生を抑えることが可能です。そして、循環水を長持ちさせることにもつながります。

まとめ
排ガスの処理は、近隣住民に迷惑をかけないだけでなく、工場内で働く従業員の健康を守るために重要なことです。
湿式スクラバーの「デオライザー」は、水の膜とスクリーンによって排ガスの汚染物質を確実に取り除くことが可能です。他にも、ランニングコストを低減できる、独自技術の「アクアブラスター」により循環水を長持ちさせることができるというメリットがあります。工場などの排ガス処理にお悩みの方は、ぜひ導入をご検討ください。