2013年8月6日の日本経済新聞の「検索 個性派企業」(35面)にアイエンスの情報が掲載されました。
2013.08.06
「検索 個性派企業」
酸素巡らせ汚泥発生防ぐ
アイエンス(神戸市)は工場や食堂から出る排水の浄化・消臭装置を開発している。
主力商品の一つ「 アクアブラスター」は排水槽に満遍なく酸素を行き渡らせる独自の工夫で、悪臭のもとになる汚泥の発生を防ぐ。
吉田憲史社長はもともと建設会社に勤めていた。1998年、設計の腕を評価され、汚泥の悪臭に悩む兵庫県内のホテルで厨房の排水処理設備の改修を担当することになった。設備のずさんな造りに驚き「自ら設計、製作しよう」と思い立った。
汚泥は水中の微生物が、不純物の分解に必要な酸素を取り込めない時に生じやすい。
水槽中に酸素を送り込む装置は他社にもあるが、上昇水流だけを生じさせるため、酸素が微生物に十分に行き渡らなかったという。
筒の中で突起を交差させ、激しい水流を起こす仕組みを考案。下向きの水流も生じるよう工夫し、酸素が排水槽全体に届くようにした。ホテルでは汚泥処理に必要な人件費や薬剤費が要らなくなり、処理費を6分の1に減らした。
手応えを感じた吉田氏は2000年にアイエンスを設立した。 アクアブラスターは同じ仕組みで1台約16万円。自社工場を持たないファブレスの経営を貫く。工場や食堂の排水処理だけでなく、洗車場の鉱物油処理にも使われる。
独創性が評価され、05年には関西ニュービジネス協議会の「NBK大賞」で環境・アメニティ部門賞を受賞している。13年9月期の売上高は前年度に比べて33%増える見込み。15年度には5億円まで増やす計画だ。
海外にも販路を広げている。すでにヤマハ発動機のタイ工場に脱臭器を搬入。今後もベトナムやマレーシアなど水処理設備が十分に整っていない東南アジアで需要を開拓する。吉田社長は「将来は水質汚染や水不足が深刻なアフリカの子どもたちに、きれいな水を届けたい」と夢を語る。