ビルピット(排水槽)の悪臭・汚泥・害獣・害虫対策
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ビルの周辺から悪臭が発生し、その原因がビルピットの腐敗からと判明した場合の対策を紹介します。
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- 地下ピットのコンクリートが腐食して建物の強度が心配。
- いろいろと対策しているが悪臭がなくならない。
- 地下に飲食店が多く、油脂の堆積に悩まされている。
- 定期的な清掃や点検の手間と費用を抑えたい。
- 汚泥などの廃棄物の処理費に悩まされている。
- ビルのイメージが悪化することを防ぎたい。
- 近隣からの苦情や、テナントの退去を防ぎたい。
ビルピットとは
下水道よりも高いビルの地上階で発生した排水は、排水管を通って下水道管へ向かいます。しかし、下水道よりも低い位置にあるビルの地下施設で発生した排水は、ポンプで汲み上げなければ下水道管に移動させることができません。その際に、一時的に排水を溜めておく排水槽を「ビルピット 」と呼びます。
「ビルピット」に流れ込む排水の種類はさまざまで、油脂の多い排水などは槽の上部に油膜などが形成され、槽内が酸素不足になり硫化水素が発生します。このため「ビルピット」は定期的な清掃が義務付けられています。清掃を怠ると悪臭が発生し、槽自体を劣化させるだけでなく、排出された公共下水道管まで劣化させるため、罰則が適用される場合があります。
ビルピットの清掃について
ビルピット清掃が必要な理由
ビルピットの排水槽の清掃は法律で定められていますので、定期的な清掃が必要です。清掃を怠ると汚れが蓄積し悪臭や害虫を発生の原因となるからです。また、排水ポンプなど設備の故障にもつながり、排水処理ができなくなると悪臭が漂うなど周辺住民の生活に重大な悪影響を及ぼします。こうしたトラブルを未然に防ぐためもビルピットの清掃が非常に重要になります。
ビルピット清掃の目安
ビルピットの清掃は、建築物における衛生的環境の確保に関する法律では、6ヶ月以内に1回以上、ビルピット内の清掃と汚泥等の除去を行わなければならないとされています。排水の水質や量、ビルピットの容量に応じて、清掃回数を増やしていくことも大切です。
ビルピット清掃の方法
ビルピット内に堆積した汚泥は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、適正な処理をしなければなりません。し尿混じりの汚泥は一般廃棄物として一般廃棄物処理業者に処理を依頼し、し尿を含まない汚泥は産業廃棄物として産業廃棄物処理業者に依頼して処理してください。
ビルピットの悪臭発生のメカニズム
ビルピット内で汚水は徐々に腐敗して、硫化水素が発生します。硫化水素はビルピット内では排水中に溶けていますが、排水ポンプによって公共下水道に排出されるときに気体化して、道路上の雨水ますなどから悪臭を周辺に放ちます。これがビルピット臭気のメカニズムです。排水槽の構造や維持管理が不適切な場合に、より顕著に発生するものなのです。
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ビルピットの腐敗メカニズム
ほとんどのビルピットは、酸素不足が原因で腐敗が進み、硫化水素が発生し、悪臭の発生だけでなく、躯体や下水道管のコンクリート劣化を起こしています。
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実際の現場状況
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水中撹拌機を設置しているが、白くぼやけて写っているのが、おびただしい数の蝶バエで、水面の浮上油にウジが大発生しており、硫化水素濃度も50ppmを超えている。
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曝気を行っているが、中途半端なエア量のため、オイルボールができるだけで、硫化水素濃度が高いときには、700ppmを超えたこともあり、問題解決に至っていない。
悪臭(硫化水素)による様々な問題点
ビルピット内で発生する硫化水素はビルピット内の躯体を劣化させるだけでなく、公共下水道に排出された時に下水道管も腐食するため、各自治体は頭を痛めています。
硫化水素による下水道管の寿命短縮
硫化水素濃度の違いによる下水道管の耐用年数の差
管経 | 耐用年数(年) | 短縮年数 | |
硫化水素濃度 平均4.1ppm | 硫化水素濃度 平均11.6ppm | ||
400mm | 39.1 年 | 13.8 年 | 25.3 年 |
450mm | 44.0 年 | 15.6 年 | 28.4 年 |
500mm | 50.9 年 | 18.0 年 | 32.9 年 |
600mm | 65.5 年 | 23.1 年 | 42.4 年 |
700mm | 81.1 年 | 28.7 年 | 52.4 年 |
東京都下水道局調査資料によると、ビルピットから発生する硫化水素の影響により、このままでは最大50年以上も下水道管の寿命が短くなると試算されています。
硫化水素の危険性
硫化水素(ppm) | 人体への影響 |
0.03 | 臭いの感知の下限度 |
5 | 不快臭となる |
50 ~ 100 | 気道刺激、結膜炎 |
100 ~ 200 | 嗅覚麻痺 |
200 ~ 300 | 1時間で亜急性中毒 |
600 | 1時間で致命的な中毒 |
1,000 ~ 2,000 | 即死 |
高濃度になれば、逆に臭気を感じにくくなり、嗅覚麻痺を起こしますので、特に注意が必要です。
ビルピットの腐敗防止装置の比較
ビルピットの悪臭対策、腐敗防止対策として取り入れらえているのが曝気・攪拌正接装置です。これまでの腐敗防止装置の特長と効果を比較しました。
方式 | 概要 | 特長と効果 |
ジェット式 エジェクター 吸気撹拌法 | ポンプで水を噴射する力を利用して、エジェクターから吸気し、気液混合流を発生する。 | 安価で簡単に設置できるが、厨房排水の負荷では、2.0mg/L以上の溶存酸素濃度を確保することが困難である。 金額:40~100万円/台 工事費別途 |
軸通気式 水中撹拌 曝気法 | ピットの水を効率よく撹拌するまでには至らず、散気管アクアブラスターと比較すると、効果は望めず、メンテナンスも困難である。 金額:200万円/4台1セット(ポンプ制御盤込み) 工事費別途 | |
水中撹拌曝気 バッキレーター法 | ポンプで水を撹拌すると同時に、ブロアでもエアを送り込む方式 | ポンプ撹拌とブロワ送風で、一見効果がありそうに思われるが、電力消費の割には、酸素溶解効率が低いため、効果は低い。 金額:50~80万円/台 工事費別途 |
即時排水 ポンプ 汲み上げ方式 | ピット内にポンプを設置して、排水が溜まる前に放出する方法 | 単純に、ピットに水を溜めない様にする方法であるが、未処理の油分や、PHが低いまま放流となるため、下水道の劣化に繋がる。 |
しかし、いずれも決め手となる製品はありませんでした。そこで・・・
硫化水素の発生ゼロを実現する、アイエンスの「ビルピット・ソービング」を紹介します。
硫化水素の発生をゼロにする画期的な方法
特殊散気管アクアブラスターをビルピットの槽内に設置することで、完全好気環境を維持し、悪臭の原因となる硫化水素の発生ゼロを実現。ビルピットの維持管理を容易にするともに、周辺環境への影響も改善します。
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アクアブラスターによるエアレーションで槽内の溶存酸素濃度を向上。バイオを活性化することで硫化水素の発生ゼロを実現します。
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槽内に設置されたアクアブラスター
ビルピット・ソービングの特長と効果
- 硫化水素発生
ゼロ保証!※ - 常に好気環境を維持できるので、硫化水素を発生させません。
- 槽内に溜まる汚泥を
大幅に削減! - 底部の汚泥を巻き上げて細分化することで、微生物が捕食しやすくなり汚泥を削減します。
- 害獣・害虫が
寄り付きにくくなります - 腐敗臭がなくなりピットが撹拌されることで、ネズミやハエ・ゴキブリが寄り付けません。
- 滞留時間に応じて
処理が進む! - 滞留時間が長ければ長いほど、油分などの分解処理が進みます。
- 中和処理不要で
pH値を中性域に! - 滞留時間にもよりますが、時間経過とともにpH値が酸性域から中性域に自動的に変化します。
※現場の条件によっては、5ppm以下の保証となります。
※壁面や設置していない箇所からの発生は除きます
ビルピット・ソービングの効果
ビルピットのさまざまな問題を根本解決するとともに大幅なコストダウンを実現します。
公共の下水道管も守ることができます。
排水のpHが上がるので、腐食を防止できます。また油脂が分解されるので、油脂付着も防ぎます。
躯体の劣化を防ぎ、資産価値を守ります。
硫化水素の発生をゼロにすることで、躯体はもちろん機器の劣化も防ぎ、資産価値を守ります。
管理の手間を軽減しコストダウンを実現。
汚泥発生量が激減することで廃棄物の処理費が大幅に軽減されるとともに、清掃などの手間も省けます。