塗装ブース用スラッジイーター誕生秘話 その2

さぁて、どうして空気を入れようかと思案しておりましたが、ポンプ以外の動力を使用するのは、お客さんにも申し訳ないので、なんとか動力を使わずに空気を入れる方法はと考えた結果、「そうかノズルをエジェクターにすればええんや!」と思いつくやいなや、試作機を自分で溶接して作り始めました。
今度は、現場で恥をかくわけにはいかないので、ノズルを4個製作して、在庫であったポンプと発電機を持って、近くのため池で実験を行いました。
幸いなことに、当時のアイエンス兵庫支店は、三木市という田舎町にあったため、ため池は至る所にあったので、助かりました。
ワクワクしながら発電機作動!「頼む!ちゃんと噴いてくれっ!・・・・・」
「おーっ!いい感じやん!」スラッジイーター試作機は、見事にエアを巻き込んで、4個ともジェットバスのように均等に噴出してくれたのでした。
通りがかる人は、ほとんどいない場所でしたが、大人三人が腰まで池に浸かって、喜んでいるさまはなんとも奇妙な光景だったと思います。
そして、ステンレスで本製作を行い、いよいよ納品の日を迎え、塗装ブースの中にスラッジイーターを8個とポンプを2台設置して稼働したところ、実験よりもポンプをひと回り大きくしたせいか、予想以上にきれいに噴射してくれたのです。

でも、その時にハッと気付いたのが、「ほんまにブースの水の腐敗臭を消すだけで、お金をもらえるんやろか?」と不安になり、「あの~社長すいません。塗装ブースの水の腐敗臭はこれで消えると思いますが、シンナー臭は、外へ出てしまいますよね!それで近隣苦情が収まらなかったらどうするんですか?」と尋ねたところ、「誰もそこまで心配してくれ言うてないやろ!あんたは、腐敗臭だけを消してくれたらええんや!」と心の内を見透かされたような答えが返ってきました。
「分りました」といったものの内心はすっきりしていませんでしたが、1ヵ月間様子を見ようということになり、その1ヶ月後に不安と期待を持って訪問したところ、社長はやたら機嫌よく、「ほら見てみい!近隣苦情なくなったがな!」といきなり微笑んでくれました。そして、「あのなぁ吉田はん、よう聞きや!シンナーだけの臭いやったら、すぐに空気に希釈されて近隣苦情にはならんのや!そこに水の腐敗臭が混ざるから、低いところに臭いが降りてくるんや!シンナー臭だけやったら、煙突を高くしたらしまいなんや!」と教えてくれたのです。

「さすがは社長!」とおべんちゃらを言ったら、「あほっ!何年塗装屋やってると思てんねん!30年これ一本で生きてきてるんやで!」と笑って答えてくれました。
まあ、この時のスラッジイーターは、お世辞にも格好の良いものではありませんでしたが、現在では、少し見栄えもよくなっていますので、ホームページで見てみてください。それと、動画で噴射の様子も見逃さないでくださいね!

スラッジイーター
スラッジイーター, 循環水処理システム