著名な建設会社さん数社から、食品系の排水処理のお引き合いをいただくことがあります。でも、ほとんどの場合、金額面で折り合わず、悔しい思いをしております。ただ、「悔しい」のは、仕事が取れなくて悔しいのではなく、競合の水処理設備が、『そのスペックでは、処理ができなくて、すぐに行き詰るじゃないですか!』という設備だからです。
処理ができないと申し上げているのはすべて根拠があり、競合装置だからと言って決して頭から否定しているのではありません。
いくつか例を挙げてみたいと思います。
① 曝気槽の空気量が、「60L/min/立方メートル」に満たない設備
→ BODが、500mg/Lを超える場合には、すくなくとも上記以上のエア量を与えてあげないと、腐敗傾向となり、微生物が好気呼吸の代謝を行えず処理不良となります。
② 上記のように空気量が少ないにも関わらず、微生物担体を入れている設備
→ 微生物担体が入っているから処理ができるというものではありません。微生物担体を入れるということは、通常よりさらに多くの微生物と接触させたいという狙いからなので、その場合には、さらに多くの酸素が必要です。
③ 好気処理の排水処理設備なのに、「脱臭装置」が付帯している。
→ 脱臭装置が付いている設備は、「この設備は処理ができなくて、腐敗臭
を発生させますよ!」と言っているのと同じです。腐敗=処理は出来ません。
④上記の空気供給量を満たしていないにもかかわらず、容積負荷が2.0㎏/m3を
超えている設備
→ アクアブラスターで空気を送り、溶存酸素濃度が3.0㎎/L以上の現場でも、今のところ、容積負荷2.6㎏/m3(微生物担体なし)が限界です。ちなみに、標準活性汚泥法の容積負荷は、0.5~0.6㎏/m3です。
現在もある弁当工場から相談を受けていますが、工場が稼働して、たった2週間で処理不良となったそうです。槽内が腐敗して、水処理ができていないのはもちろんのこと、水槽からの悪臭で近隣苦情にまで至り、現在では役所からの指導を受けている状況です。
もちろん、設計施工して請け負った会社は、とうに逃げ出してしまっています。
これまで、アイエンスがお請けさせていただいた仕事で、このような問題の発生している現場は、一軒もなく、処理ができない処理設備を導入されたお客様のことを思うと、気の毒でなりません。
弊社同様にしっかりと処理ができる設備に金額で負けるのなら、それは弊社の努力不足ですが、処理できない装置に金額で負けるのは、やり切れません。
ここで、同業者さんにひと言・・・
金額だけで勝負して、処理のできない装置を販売するのは、もう止めにしませんか?もっと真面目にお客様の立場になって、水処理業界のボトムアップを図っていきませんか?