テクニカルレポート
鶏肉加工工場
株式会社シマナカ 排水処理事例
調査:兵庫県立大学工学部 伊藤准教授2016年11月14日、株式会社シマナカ様にて、兵庫県立大学工学部の伊藤准教授らが調査を実施。
処理前の原水と処理後を比べると、放流基準値を大きく下回る結果となりました。調査1 粒子数の変化について
各処理槽での粒子数変化
径ごとの粒子数変化
(3µm、7µmは粒子数10倍、12µm、15µmは粒子数100倍で表示)※粒子の主成分はBOD、SS、N-hexです。
※粒子径が減少することで表面積が増加し、好気性菌による分解速度が飛躍的に向上すると考えられます。(※兵庫県立大学調べ)
調査2 水質分析結果について
同年行われた水質分析でも、
処理後(放流槽)の数値は放水基準を満たすレベルまで減少していることが分かりました。
これらの調査結果を受け、効率的かつ確実な水処理が行えたのは
「散気管 アクアブラスター」の導入により微生物の活動が活発になったためと考えられます。
原 水 | 調整槽 | 第1曝気 | 第2曝気 | 第3曝気 | 第4曝気 | 第5曝気 | 第6曝気 | 第7曝気 | 放流槽 | |
BOD | 4800 | 1600 | 1200 | 1100 | 740 | 470 | 240 | 220 | 210 | 24 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
COD | 1100 | 880 | 900 | 850 | 720 | 780 | 380 | 340 | 330 | 120 |
SS | 3200 | 1700 | 1300 | 1500 | 1200 | 1200 | 430 | 450 | 390 | 47 |
n-hex | 2000 | 200 | 97 | 41 | 19 | 7 | 3 | 5 | 3 | 1 |
T-N | 320 | 130 | 150 | 160 | 150 | 130 | 89 | 82 | 83 | 47 |
T-P | 45 | 31 | 43 | 43 | 43 | 42 | 33 | 34 | 35 | 35 |
pH | 5.6 | 5.9 | 6.5 | 6.9 | 7.3 | 7.6 | 7.6 | 7.3 | 7.2 | 7.2 |
分析は株式会社総合水研究所で実施、放流基準はSSが300mg/L以下、N-hexは30mg/L以下
BOD(生物化学的酸素要求量)
Biochemical Oxygen Demandの略称で、河川水や工場排水中の汚染物質(有機物)が微生物によって無機化あるいはガス化されるときに必要とされる酸素量のことで、水質が汚濁していることを意味します。
SS(浮遊物質量)
Suspended Solid(懸濁物質)の略称で、水中に浮遊している物質の量のことをいい、数値が大きい程、その水の濁りが多いことを示します。
N-hex
N-hex(ノルマルヘキサン)という有機溶媒によって抽出される不揮発性物質の総称で、水中に含まれる油分の指標を意味します。
兵庫県立大学 大学院工学研究科
伊藤和宏(いとう かずひろ) 准教授
従来法の数倍の空気を供給する「アクアブラスター」の新発想に大きな期待を寄せています。実機による実験から、(1)驚くほどの低圧損、(2)汚泥層の攪拌に十分な流速の発生、(3)ファインバブルの大量生成といった、注目すべき確かな効果が確認されました。現代の水処理問題を解決に導いてくれる大きな技術革新だと私たちは捉えています。今後海外での展開も視野に入れ活動を続けるということなので、更なる発見に貢献できるよう努めさせて頂きます。